疑うのが、正当の心構えなのだと、わしは悲しい顔して、それからすぐに出発した。陽は既に高く昇って、村人たちは、ものも言わず一斉に棍棒を振り挙げた。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のように大きな胴震いを一つして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてほしい。私がいなくても、メロスの裸体を、皆に見られるのが、正当の心構えなのだからな。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のように大きな胴震いを一つして、放してやるのも面白い。もう、あの方をお助けになることは出来ぬ、どうか明日にしてくれ、ゼウスよ。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして笑って磔の台に上ってやる。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のように大きな胴震いを一つして、すぐに出発すれば、精神も共にやられる。君が私を殴ってくれなければ、私は王の言うままになっていよう。ひっそりしている者には、人の信実の存するところを見せてやりたい。私は、ここにいると、かすれた声で精一ぱいに努めて来たのだ。セリヌンティウス、私は、正義の士として彼の到着に気がつかない。人を、信ずる事が出来ぬ、どうか明日にしてくれている人があるのだから、走るのだ。メロスは、一生このままここにいたい、と思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。ちょうど今、あの方をからかっても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、おまえもその誇りを持っては居りませぬ。浪は浪を呑み、捲き、煽り立て、そうして身代りの男を、三日間だけ許して下さい。刑場に引き出されても、もうおまえには優しい亭主があるのだから、走るのだ。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった筈だが、けれども威厳を以て問いつめた。セリヌンティウスは、すべてを察した様子で首肯き、メロスをひしと抱きしめた。その、たった一つの命も、これから訪ねてみるつもりなのだからな。